お悩み:この家は誰が相続する?空き家や負動産のリスクとは
相続財産には預貯金や株式、自動車などがありますが、中でも 自宅などの不動産 は誰が相続するか悩むことが多い財産です。
遺言書を作成する場合、遺言者は自宅に住んでいる人や管理を任せたい人に相続させることが一般的です。また、遺産分割協議の際も、現に居住している相続人が優先されるケースが多く見られます。
しかし、相続財産の不動産に誰も住まなくなるとどうなるでしょうか?いわゆる 空き家問題 です。
空き家の所有者には義務がある
日本全国には多くの空き家があります。空き家の所有者には 管理義務 が課されています。
- 建物の補修
- 草木の除去
- 固定資産税の支払い
所有者が管理を怠れば、建物の老朽化が進み、周辺住民への影響も出ます。最悪の場合、特定空き家に指定され、行政代執行で取り壊され、その費用を所有者が負担することになります。
使用も賃貸もしていない不動産を放置していると、資産ではなく「負動産」と呼ばれることもあります。
空き家を相続するとどうなる?
負動産を相続したくない相続人が多いのは当然です。特に相続人が複数いる場合、以下のような問題が起きることがあります。
- 押し付け合いのトラブル
- 「自分は管理できないから相続したくない」となる場合があります
- 共有持分の手間
- 不動産を平等に分けて共有にすると、売却や賃貸の意思決定が複雑になります
- 建物付き土地の制約
- 相続土地国庫帰属制度が使えず、処分や管理が負担になる
事例
- ケース1:実家の空き家を相続したAさん
Aさんは両親から実家の土地と建物を相続しました。Aさんは遠方に住んでおり管理が難しいため、毎年草刈りや修繕を業者に依頼し、固定資産税も支払い続けています。管理コストがかさみ、結局売却を検討中です。 - ケース2:兄弟間の負動産トラブル
BさんとCさんは父親の空き家を相続しましたが、二人とも管理が難しいと主張。結局どちらも譲らず、共有のまま放置。売却の手続きも進まず、老朽化が進行しました。
このように、空き家を相続すると管理負担やトラブルが発生しやすくなります。
どう対策するか?
- 生前に相続人の意向を確認する
- 売却して現金化する、リースバックなどの活用も検討
- 遺言書で明確に意思表示しておく
今すぐに決める必要はありませんが、あらかじめ考えて遺言書に記載しておくことは、将来のトラブル防止に有効です。
💡 ポイント
- 空き家や負動産は管理義務・固定資産税・老朽化などの負担がある
- 相続人が複数いる場合は共有や押し付け合いのリスクが高い
- 生前の意思表示や遺言書作成でトラブルを回避できる
