お悩み:子なし夫婦の相続はどうなるの?
近年、国の調査によると、子のいない夫婦の割合が増加傾向にあります。
背景には、子育て・教育にかかる費用の増加や、ライフスタイルの多様化などが挙げられます。
子がいない夫婦の相続、全て配偶者がもらえるとは限らない!
「自分の死後、財産はすべて夫(妻)に残したい」と考える方は多いでしょう。
しかし、民法の定める相続制度では、必ずしも配偶者が全てを相続できるわけではありません。
子なし夫婦の相続関係はどうなる?
たとえば、夫が亡くなった場合、相続人は次のように決まります。
- 配偶者と子(子がいれば)
- 子がいない場合:配偶者と夫の父母
- 子も父母もいない場合:配偶者と夫の兄弟姉妹
- 子も父母も兄弟姉妹もいない場合:配偶者のみ
つまり、子がいない場合でも、配偶者の他に相続人が存在する可能性が高いのです。
遺言書がないと、相続人全員で「遺産分割協議」を行う必要があります。
遺産分割協議の現実
あなたは、配偶者のご両親や兄弟姉妹と遺産分割の話し合いができますか?
中には「ほとんど話したことがない」「関係が良くない」というケースもあるでしょう。
民法で法定相続分は定められていますが、これはあくまで目安であり、実際には話し合い(遺産分割協議)で決めなければなりません。
感情的な対立が生じるケースも少なくありません。
配偶者に全てを相続させたいなら「遺言書」を!
もし「自分の財産はすべて配偶者に残したい」と考えているなら、遺言書を作成することが最も確実な方法です。
遺言書を作成すれば、他の相続人の同意を得ずに、配偶者に全財産を相続させることができます。(※ただし、兄弟姉妹のぞく法定相続人とは「遺留分」の問題があります。)
事例:遺言書がなかったことで起きたトラブル
夫婦ともに子がいないCさん夫妻。
夫が急逝し、遺言書を残していなかったため、夫の兄弟3人と遺産分割協議をすることになりました。
Cさんは長年夫を支えてきましたが、夫の兄弟たちは「公平に分けるべき」と主張し、話し合いは難航。
結果、夫名義の預金や不動産の一部を失うことになってしまいました。
一方で、もし夫が「全財産を妻Cに相続させる」と公正証書遺言を作成していれば、Cさんはスムーズに相続でき、生活の不安を抱えることもなかったでしょう。
遺言書作成のポイント
- 形式に注意:法的要件を満たさないと無効になるおそれがあります。
- 専門家に相談を:行政書士や司法書士に相談すれば、確実で安心。
- 早めの準備を:健康なうちに準備しておくことがトラブル防止の第一歩です。
💡 まとめ
- 子がいない夫婦では、配偶者以外の親族が相続人になることが多い
- 配偶者だけに財産を遺したいなら、遺言書の作成が必須
- トラブルを避けるためには、早めに専門家へ相談を!
