お悩み:相続放棄したのに請求書が届いた!
「相続放棄をしたはずなのに、金融機関やカード会社から請求書が届いた…」
このようなご相談は実務上とても多いです。
相続放棄をしたのに支払いを求められると、不安になりますよね。
相続放棄とは?
相続放棄とは、被相続人(亡くなった方)のすべての権利義務を引き継がないという手続きです。
つまり、プラスの財産(預金・不動産など)もマイナスの財産(借金など)も、いっさい相続しません。
家庭裁判所に申述書を提出し、「受理通知書」または「証明書」が交付されれば、正式に相続放棄が認められます。
それでも請求書が届くのはなぜ?
相続放棄をしても、債権者(銀行やカード会社など)はその事実を知らないことが多いです。
裁判所が自動的に通知してくれるわけではないため、放棄した本人が債権者へ通知する必要があります。
したがって、請求書が届いた場合は、「私は〇年〇月〇日に相続放棄をしました」という旨を記載した通知書を送付し、家庭裁判所の受理証明書を添付するとよいでしょう。
相続放棄が無効になるケースも
相続放棄のあとに、被相続人の財産を処分してしまうと、「相続を承認した(単純承認)」とみなされ、放棄が無効になるおそれがあります。
たとえば、
- 被相続人名義の車を売却した
- 預金を引き出して使用した
- 家財道具を処分した
などが該当します。
これらの行為をする前に、必ず家庭裁判所で放棄手続きを完了させるようにしましょう。
事例紹介
Aさんの父が亡くなり、数百万円の借金があることが判明しました。
Aさんは相続放棄を家庭裁判所に申し立て、受理されました。
しかし、後日クレジット会社から「返済をお願いします」と請求書が届きました。
Aさんが受理証明書を添えて相続放棄の通知書を送付したところ、その後、すべての請求が止まりました。
→ このように、債権者への通知を忘れずに行うことが重要です。
まとめ
✅ 相続放棄をしても、債権者は自動的に知るわけではない。
✅ 家庭裁判所の受理証明書を添えて、債権者に通知する。
✅ 放棄後に財産を処分すると、無効になるおそれがある。
相続放棄は「申述して終わり」ではありません。
通知と確認までしっかり行うことで、安心して手続きを完了させましょう。
