お悩み:遺言内容が実現されるか心配・・・

 せっかく時間をかけて遺言書を作成したのに、「本当に遺言内容が実現されるのだろうか?」と不安に思う方は少なくありません。

 実は、遺言書を書いてもその内容が実現されないケースは珍しくありません。
 本記事では、その主な理由と防止策についてわかりやすく解説します。


遺言内容が実現されない主なパターン

 大きく分けて、次の2つのケースが考えられます。

  1. 遺言書が発見されないパターン
  2. 遺言書が発見されても、相続人全員の同意による遺産分割協議で無効化されるパターン

 それぞれ詳しく見ていきましょう。


① 遺言書が発見されないパターン

 そもそも遺言書が相続人に発見されなければ、遺言の内容は存在しなかったことと同じです。
 自筆証書遺言、公正証書遺言のどちらであっても、相続人が気づかなければ実現されません。

🔍 解決策

  • 遺言書の存在を信頼できる人に知らせておく
     推定相続人、遺言執行者、友人など、複数の人物に「遺言書を書いた」ことを伝えておきましょう。
  • 自筆証書遺言保管制度を利用する
     法務局で保管すれば、相続開始後に確実に発見され、検認も不要です。

② 遺言書が見つかっても、遺産分割協議が優先されるパターン

 遺言書が見つかったとしても、相続人全員が合意すれば、遺言内容と異なる分割も可能です。

 つまり、遺言者が「Aに土地を、Bに預金を」と指定していても、相続人全員が「土地はBが欲しい」と合意すれば、その内容で遺産分割が成立してしまいます。

 これは法律上、遺言よりも相続人全員の合意が優先されるためです。

🔍 解決策

  • 遺言執行者を指定しておくこと
     遺言執行者には、遺言内容を実現する法的義務があります。
     しかし、就任を辞退することも可能なため、信頼できる人物を選任することが大切です。
  • 専門家を遺言執行者にする
     行政書士・司法書士・弁護士などに依頼すれば、
     専門的かつ中立的な立場から確実に執行してもらえます。

事例:遺言があったのに実現されなかったケース

 Cさんは、自筆で遺言書を作成し、長男に土地を、長女に預金を相続させる旨を記載していました。
 しかし、Cさんの死後、遺言書の存在を家族に知らせていなかったため、相続人はそのまま遺産分割協議を実施。

 数ヶ月後、偶然遺言書が見つかりましたが、既に遺産分割が終わっており、内容を覆すことはできませんでした。

 👉 このように、「見つからない・知られない・尊重されない」という理由で、せっかくの遺言が形骸化してしまうこともあるのです。


遺言内容を確実に実現するためにできること

対策内容
🔸 自筆証書遺言保管制度法務局に保管し、検認不要・確実に発見される
🔸 遺言執行者の指定相続人や専門家に実現を託す
🔸 公正証書遺言紛失・偽造・未発見のリスクがほぼゼロ
🔸 相続人への周知「遺言書を作成している」と伝えておく

💡 まとめ

  • 遺言書は「発見されない」「無視される」ことで実現しないことがあります
  • 信頼できる人に遺言書の存在を知らせましょう
  • 法務局保管や公正証書遺言で安全に保管しましょう
  • 遺言執行者を指定して、確実に内容を実現しましょう

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