お悩み:遺言書で私の相続分がゼロにされている場合は?
Aさんは、母親が亡くなった後に遺言書を発見しました。
介護などで献身的に尽くしてきたため、遺言書には自分に有利な内容が書かれていることを期待していましたが、内容は期待を裏切るものでした。
遺言書の内容
母親の遺言書には以下のように記載されていました。
「私の資産の全てをBさん(Aさんの兄)に相続させる」
Aさんの父は既に他界しており、相続人はAさんとBさんの二人だけです。
Aさんは納得できず、Bさんに異議を唱えましたが、Bさんは「遺言書通りにするべきだ」と主張し、遺産分割協議に応じませんでした。
その結果、遺言書通りにBさんが母の全財産を相続することになりました。
遺留分による救済
Aさんは1円も相続できないのでしょうか?
結論としては、遺留分を侵害されている場合は金銭で請求できる可能性があります。
遺留分とは
相続人には、法律で保障された最低限の相続分「遺留分」があります。
- 配偶者・子・直系尊属の場合、法定相続分の半分が遺留分です。
Aさんの場合:
- 法定相続分 = 1/2
- 遺留分割合 = 1/2
- 遺留分 = 1/2 × 1/2 = 1/4
つまり、母親の遺産の1/4を金銭で取得する権利があります。
遺留分侵害額請求権
遺留分を侵害された場合、他の相続人に対して金銭で請求することが可能です。
- 不動産をBさんが相続していても、その評価額の1/4を金銭で請求できます。
- 請求権の時効:
- 相続を知った日から1年
- 相続発生時から10年
遺留分侵害が判明した場合は、早めに行動することが重要です。
遺留分侵害額請求の流れ
- 話し合い(任意交渉)
- 遺留分が法律上認められているため、話し合いで解決できる可能性があります。
- 内容証明郵便の送付
- 話し合いに応じない場合に有効です。
- 裁判所での調停
- 調停でも解決できなければ、訴訟に進むことも可能です。
- ただし、ここまで進むケースは少数です。
遺言書作成時の注意点
- 遺留分を侵害する遺言書は、相続人間で争いが生じるリスクが高いです。
- 遺言書を作る際は、各相続人の遺留分に配慮することが望ましいです。
- 遺留分を考慮した遺言書作成は、行政書士や弁護士などの専門家に相談することでトラブルを避けられます。
