紛争につながる遺言書とは?奈良での相続トラブルを防ぐために

 遺言書を作成しようと考えている方の多くは、「自分の死後、家族に争ってほしくない」という想いを持っています。
 しかし、遺言の書き方や内容によっては、逆に相続トラブル(いわゆる“争続”)を引き起こすこともあります。

 本記事では、行政書士の視点から紛争につながる遺言書の典型例と、その防止策をわかりやすく解説します。
 奈良市・生駒市・大和郡山市など奈良県内で遺言書の作成を検討している方は、ぜひ参考にしてください。


民法に定められた遺言書の要件を満たしていない場合

 遺言書は民法で細かく形式が定められており、これを満たさないと無効になることがあります。
 特に注意が必要なのは自筆証書遺言です。

 自筆証書遺言では、

  • 全文・日付・氏名を自署すること
  • 押印すること
  • 修正する際の方式を守ること
    が必要です。

 些細な書き間違いでも無効になることがあり、結果的に相続人間で「有効・無効」を巡る争いに発展するケースがあります。
 裁判所での判断に委ねるしかない場合もありますが、最初から公正証書遺言を作成することで、ほぼ確実にトラブルを防げます。

奈良での実務ポイント
 公正証書遺言は奈良公証役場(奈良市)や橿原公証役場などで作成可能です。行政書士に依頼すれば、文案作成から証人手配までサポートを受けられます。


遺言内容が偏っており、理由が不明確である場合

 遺産には、分けやすいもの(現金・預金)と、分けにくいもの(不動産・山林・自動車)があります。
 不公平な配分や、理由の説明がない遺言は、相続人の不満を生み、トラブルの火種になります。

 たとえば:

「長男には田舎の山林を、次男には現金1000万円を相続させる」

 という内容だった場合、山林の管理コストや売却の難しさを考えると、長男から「不公平だ」と不満が出る可能性があります。
 このようなケースでは、遺言の背景理由を一文添えておくだけでも印象が変わります。

例:「長男には生前より山林の管理を任せていたため、山林を相続させる」など。

 また、分割が難しい不動産や山林などは、生前に売却・整理しておくことも有効です。
 もし不要な土地がある場合は、相続土地国庫帰属制度の活用も検討しましょう。


遺言者が感情に流されて作成したと思われる場合

 遺言は「冷静な判断」に基づいて作成する必要があります。
 一時的な感情や特定の相続人の影響を受けた遺言は、他の相続人からの反発や無効主張の原因となります。

 たとえば、
 感情的な場面やお酒の席などで作成した遺言は、「真意に基づいていない」と見なされるおそれがあります。
 特に自筆証書遺言は、作成時の状況が分かりにくいため、「作成時の判断能力」や「自由意思」が問題化しやすいです。

 このような事態を防ぐためには、

  • 遺言作成の前に家族構成や財産内容を整理する
  • 専門家(行政書士・公証人など)に相談する
  • 日を改めて冷静に推敲する
    ことが大切です。

内容が不明確・矛盾している場合

 内容に矛盾がある遺言書もトラブルの元です。

 たとえば、

「全ての財産を長男Aに相続させる」
「〇〇銀行の預金は次男Bに相続させる」
「〇〇市の不動産は三男Cに相続させる」

 という遺言では、「全ての財産」がどこまで含まれるのか不明確です。
 こうした場合、相続人間で解釈が分かれる可能性があります。

防止策

  • 資産を特定して記載する
  • 「この遺言の内容が優先される」と明記する
  • 専門家によるチェックを受ける

 遺言書は「誰が読んでも同じ解釈になる」ように書くことが最重要です。


まとめ:紛争を防ぐ遺言書は「形式」と「内容の明確さ」

  • 遺言書は民法の形式を満たすことが前提
  • 内容は公平性・理由の明確化・一貫性がポイント
  • 感情的・曖昧な記載は避け、専門家チェックを受けることで安心

 奈良で遺言書の作成や相続トラブル防止をお考えの方は、行政書士に相談するのが確実です。
 法律の観点だけでなく、家族の事情に寄り添った遺言内容の提案を受けられます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です