遺言書の付言とは?円満相続を実現するための最後のメッセージ

 遺言書には、法的効力を持つ「遺言内容(財産の分け方など)」のほかに、
 付言(ふげん)と呼ばれる「家族へのメッセージ」や「遺言者の思い」を書くことができます。

 付言は法律上の効力を持つものではありませんが、相続人の理解を深め、トラブルを防ぐ大きな効果を発揮することがあります。
 奈良で遺言書の作成をお考えの方は、ぜひ付言も活用してみてください。


付言とは?法律上の位置づけ

 付言とは、遺言書の本文とは別に記載する遺言者の想いやメッセージ部分のことです。
 書き方に決まりはなく、どの形式の遺言書(自筆証書遺言・公正証書遺言など)にも自由に記載できます。

 付言はあくまで法的効力を持たない「意思表示」ですが、

  • 相続人への感謝やお願い
  • 遺言内容の理由の説明
  • 相続人間の関係調整の意図
    などを書くことで、結果的に相続争いを防ぐ力を持ちます。

💡【ポイント】
 「付言」は“遺言者の人柄”が最も表れる部分。
 奈良で多いご相談でも「どう書けば家族が争わないか」を重視される方が増えています。


付言の具体例

 付言に決まった書き方はありませんが、以下のような内容がよく用いられます。

  • 「私は家族に恵まれ、幸せな人生を送ることができました。皆に感謝しています。」
  • 「お母さんは高齢なので、長男の〇〇はこれからも支えてあげてください。」
  • 「家族全員が、これからも仲良く助け合って生きていってほしいと願っています。」
  • 「〇〇(妻)は介護で私を支えてくれました。その感謝の気持ちとして、預金の一部を遺贈します。」
  • 「私の財産で小さくてもお墓を建ててくれるとありがたいです。」
  • 「人を傷つけるような言葉は使わないように。私の失敗を教訓にしてほしいです。」

 このように、付言は家族への感謝・願い・人生訓など、遺言書という形式に「心」を添える大切なパートです。


付言を書くメリット

 付言を書くことで、次のような効果が期待できます。

① 相続トラブルの防止につながる

 付言で「なぜこのような遺言内容にしたのか」を説明しておくことで、相続人が遺言者の意図を理解しやすくなり、不公平感や誤解を防ぐことができます。

② 相続手続きが円滑に進む

 付言によって遺言者の気持ちが伝わると、相続人同士が遺言内容に従いやすくなり、結果的にスムーズな遺産分割につながります。

③ 感謝・想いを伝えられる

 生前にはなかなか言えなかった感謝や想いを、付言を通じて“最後の手紙”として残すことができます。
 遺言書が「法律文書」ではなく「家族の絆をつなぐ手紙」として受け取られることもあります。


付言を書くときの注意点

 付言は自由に書ける一方で、注意しなければならないポイントもあります。

① マイナスの感情は書かない

 相続人への文句・恨み言などは避けましょう。
 他の家族も読むことになりますし、銀行や法務局など手続き関係者の目にも触れます。
 ネガティブな内容は別途「手紙」や「動画メッセージ」で残すのが無難です。

② 遺言内容と矛盾しないようにする

 付言は法的効力がないとはいえ、遺言本文と食い違う内容を書くと相続人を混乱させます。
 たとえば:

本文:「長女Aに預金すべてを相続させる」
付言:「次女Bに預金の一部でお墓を建ててほしい」

 このような場合、どちらを優先するのか分からず、トラブルの原因になります。
 本文の趣旨を尊重し、矛盾のないように書くことが大切です。

③ 感情的・過度な指示は避ける

 「誰それとは付き合うな」「家業を継がないなら財産は渡さない」など、強い指示口調の付言は逆効果になりかねません。
 柔らかく・思いやりのある表現で書くと、家族の心に残ります。


奈良で遺言書を作成する際のポイント

 奈良県内では、特に高齢の方を中心に「公正証書遺言+付言」の作成が増えています。
 行政書士が文案を作成し、公証人と連携して法的に有効な遺言書を仕上げる流れが一般的です。

奈良の遺言サポート体制

  • 奈良市・生駒市・大和郡山市などに出張相談可能
  • 公正証書遺言作成の立会・証人手配も対応
  • 付言の文章内容も行政書士がアドバイス

まとめ

  • 付言は遺言者の想いを伝える大切なメッセージであり、相続トラブル防止にも役立ちます。
  • 法的効力はないものの、家族の理解を得やすくする心理的効果があります。
  • 書く際は、感謝や願いなど前向きな言葉を選び、遺言内容と整合性を保つことが大切です。

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