遺言書の証人になれない人とは?公正証書遺言・秘密証書遺言で注意すべきポイント
公正証書遺言や秘密証書遺言を作成するときには、証人(立会人)が必要です。
しかし、誰でも証人になれるわけではなく、民法で証人になれない人が明確に定められています。
この記事では、証人になれない人の具体的な条件や、実際の選び方、注意点まで行政書士目線でわかりやすく解説します。
公正証書遺言・秘密証書遺言に証人が必要な理由
公正証書遺言や秘密証書遺言は、遺言者の意思を公正に記録し、将来のトラブルを防ぐための制度です。
そのため、第三者である「証人」の立会いが法律上義務づけられています(民法第969条、970条)。
証人の役割は、次のような点を確認することです。
- 遺言者が自らの意思で遺言しているか
- 遺言内容が明確に読み上げ・理解されているか
- 公証人が遺言内容を正しく記録しているか
証人は、遺言書の「正当性を保証する立会人」として重要な存在です。
証人になれない人(民法974条)
民法第974条では、次のような人は証人になることができないと定められています。
- 未成年者
- 推定相続人
- 推定相続人の配偶者
- 推定相続人の直系血族(父母・祖父母・子・孫など)
- 受遺者(遺言で財産を受け取る人)
- 受遺者の配偶者
- 受遺者の直系血族
- 公証人の配偶者
- 公証人の四親等以内の親族
- 公証人の使用人・書記
つまり、遺言によって利益を受ける可能性のある人、または公証人と関係の深い人は証人になることができません。
遺言の公正さを保つための重要な制限です。
実務上よくある証人の例
実際に証人を依頼する場合、次のような人が選ばれることが多いです。
- 行政書士・司法書士などの専門家
- 公証役場から紹介された証人
- 遺言者の友人や知人(利害関係のない人)
専門家に依頼する場合、証人も含めてサポートしてくれるケースがほとんどです。
また、証人のみを依頼する場合の費用相場は1人あたり1万円前後となっています。
公証役場で紹介を受ける場合も同様に、報酬として1万円前後が一般的です。
友人・知人に証人を頼む場合の注意点
信頼できる友人に証人を頼むことも可能ですが、次の点に注意が必要です。
- 証人は遺言内容をすべて知ることになる
- そのため、遺言内容が第三者に知られるリスクがある
- 相続に関わる話題が人間関係に影響することもある
遺言内容を秘密にしたい場合は、専門家や公証役場紹介の証人を利用する方が安全です。
専門家に依頼するメリット
行政書士などの専門家に公正証書遺言の作成を依頼すると、次のようなメリットがあります。
- 証人の手配を含め、公証役場との調整を一括で代行してもらえる
- 遺言内容が法的に有効かどうかを事前に確認できる
- 相続人や遺留分を考慮したトラブル防止型の遺言書が作成できる
特に「誰を証人にすべきかわからない」「身近に頼める人がいない」という場合は、専門家に相談するのが安心です。
まとめ
- 公正証書遺言や秘密証書遺言には、証人が必須です。
- 民法第974条により、相続人・受遺者・公証人関係者などは証人になれません。
- 友人を証人にする場合は、遺言内容が知られるリスクに注意。
- 行政書士などの専門家に依頼すれば、証人手配から作成支援まで一括で行ってもらえます。
