お悩み:遺言書の内容に反対!

 「被相続人が遺言書を残して亡くなってしまいました。遺言書の内容をみると、納得できないことが多々ありました。」
 このようなお悩みを持つ方は少なくありません。


遺言書は原則として本人の意思が最優先

 遺言書は、被相続人の最終意思の表れです。
 そのため、基本的には遺言内容どおりに遺産分割を行うことになります。

 しかし、相続人全員の同意があれば、遺言書の内容を変更して、遺産分割協議書の内容に基づいて分割することも可能です。
 ただし、相続人のうち1人でも「遺言書どおりに進めたい」と主張すれば、遺言内容どおりの相続が優先されます。


配偶者や子には「遺留分」という最低限の権利がある

 遺言者は自由に財産の配分を決められますが、
 残された配偶者・子・父母には遺留分という「最低限の取り分」が保障されています。

 たとえば配偶者の場合、相続財産の4分の1までは、他の相続人に対して金銭で請求できます。
 これは「遺留分侵害額請求権」と呼ばれる権利です。


公序良俗に反する遺言内容は無効になる場合も

 たとえば、「不倫相手に全財産を遺贈する」といった内容は、
 場合によっては公序良俗に反し無効と判断されることがあります。

 ただし、「どの程度なら有効か」「どこから無効になるのか」はケースバイケースであり、
 専門家に相談して判断する必要があります。


遺言書を勝手に破棄するのは絶対にNG!

 遺言書を故意に破棄すると、相続欠格(相続資格を失う)に該当し、さらに私用文書毀棄罪(5年以下の懲役)に問われる可能性もあります。

 また、公正証書遺言や法務局保管の自筆証書遺言であれば、
 原本が公的に保管されているため、手元のコピーを破棄しても意味がありません。


事例紹介

 被相続人が、公正証書遺言で「長男に全財産を相続させる」と記載して亡くなりました。
 長年介護を続けてきた長女が強く反発し、最終的に遺留分侵害額請求を行いました。
 結果、相続財産の4分の1相当額を長男から金銭で受け取ることで和解が成立しました。

 → このように、遺留分請求により、遺言内容が一部修正されるケースも少なくありません。


まとめ

 遺言内容が納得できない場合でも、法律上の権利(遺留分)を行使したり、全員の合意で柔軟な対応を取ることが可能です。
 ただし、感情的に対応してしまうと、取り返しのつかないトラブルに発展するおそれがあります。

 遺言者の意思を尊重しつつ、冷静に、専門家のサポートを受けながら進めることが大切です。

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