お悩み:遺言書が2通見つかった!どちらが有効?
被相続人が亡くなり、身の回りの整理をしていると 複数の遺言書が見つかるケース があります。
遺言書が1通だけであれば、その内容に従って遺産分割を行えば問題ありませんが、複数の遺言書がある場合は注意が必要です。
複数の遺言書がある場合の基本ルール
- 遺言書を複数作成すること自体は 問題ありません
- しかし 前の遺言書と後の遺言書で内容が抵触する場合、後の遺言書の内容が優先されます
- 抵触していない部分については、前の遺言書の内容が有効です
具体例
以下の遺言書が見つかったとします。
【令和元年1月1日付】
- 〇〇銀行の預貯金はAに相続させる
- ✕✕証券の株式はBに相続させる
【令和5年1月1日付】
- ✕✕証券の株式はAに相続させる
この場合、
- ✕✕証券の株式:令和5年1月1日付の遺言書が有効 → Aが相続
- 〇〇銀行の預貯金:令和5年の遺言書に記載なし → 令和元年1月1日付の遺言書が有効 → Aが相続
遺言書が複数ある場合の対応
- 落ち着いて内容を確認する
- 抵触している部分、抵触していない部分を整理
- 遺言者の真意を考慮する
- 日付が新しい方が原則有効
- 遺産分割の手続き
- 相続人全員で内容を確認して円満に分配する
遺言書作成時の注意点
- 遺言書を再作成する場合は、前の遺言書を 破棄 するか
- 「前の遺言書の内容はすべて撤回する」という旨を 明確に記載 する
これにより、後々の相続トラブルを未然に防ぐことができます。
事例
- ケース1:兄弟間のトラブル回避
Bさんが亡くなった父の遺言書を整理していると、2通の遺言書が出てきました。
古い方では株式は兄が相続、新しい方では弟が相続と書かれていました。日付を確認し、新しい方の遺言書に従ったことで、兄弟間の争いを避けられました。 - ケース2:預貯金だけ有効活用
Aさんは遺言書を確認し、株式は後の遺言書通り、預貯金は前の遺言書通りに相続することで、円滑に資産を分配できました。
💡 ポイント
- 遺言書は複数あっても問題ありません
- 内容が抵触した場合は、後の遺言書が優先
- 抵触していない部分は前の遺言書も有効
- 遺言書作成時には「前の遺言書は撤回」と明記すると安心
