お悩み:相続人がいない場合の手続き
身寄りのない方が亡くなった場合や、相続人が全員亡くなっている場合、「誰が遺産を受け取るのか」「手続きはどう進むのか」と疑問や不安が生じます。相続人がいないケースでは、通常の遺産分割とは異なる特別な手続きが必要です。
この記事では、相続人がいない場合の仕組みや、財産管理・清算の流れを分かりやすくまとめます。
相続人がいないとはどういう状態?
以下のケースが該当します。
- 法定相続人(配偶者・子・父母・兄弟姉妹)が誰もいない
- 相続放棄により、最終的に相続人が不在になった
- 戸籍調査(10〜20通以上)をしても相続人が発見できない
この場合、遺産は自動的に国へ移るわけではなく、家庭裁判所を通じて管理・清算の手続きを行う必要があります。
相続人がいない場合の手続きの流れ
1. 相続財産管理人の選任申立て
相続人がいないとき、財産の管理をするため「相続財産管理人」を家庭裁判所に選任してもらいます。
- 申立人は利害関係人(知人、債権者、大家、自治体など)
- 管理人は司法書士・弁護士などが選ばれることが多い
2. 相続財産管理人による財産調査
管理人が、故人の財産・負債・契約状況を調査し、一覧にまとめます。
- 銀行口座、不動産、保険
- クレジット、借金、公共料金
- 家財の評価・処分
3. 債権申出の公告(官報公告)
「亡くなった人にお金を貸していた方は申し出てください」という公告を行い、2か月以上の申出期間をとります。
4. 特別縁故者への財産分与の可能性
相続人がいない場合でも、故人と特に密接な関係にあった人は遺産を受け取れる可能性があります。
特別縁故者になれる例
- 長期間面倒を見ていた知人
- 内縁の妻・夫
- 生活を共にしていた人
- 生前に療養看護をしていた人
家庭裁判所に「財産分与の申立て」を行い、認められれば一定の財産を取得できます。
5. 残余財産は国庫へ帰属
特別縁故者への分与が終わった後、なお残る財産は国庫に入ります(国の財産になる)。
相続人不存在の手続きはなぜ大変なのか?
- 家庭裁判所への申立書類が多い
- 戸籍調査に手間と時間がかかる
- 管理人の報酬・費用が必要
- 官報公告や債権調査が必要
- 特別縁故者の申立てには厳しい基準
相続人の存在を「最後の1人まで」確定しなければならないため、専門知識が求められる手続きです。
専門家に依頼するメリット
- 戸籍取り寄せ・相続人調査を全面サポート
- 相続財産管理人選任申立書を作成
- 特別縁故者の主張・申立書類作成も対応
- 相続財産管理人としての候補者選定の相談も可能
相続人不存在は個人で行うには非常にハードルが高いため、専門家の関与がほぼ必須と言われます。
まとめ
相続人がいないケースは、通常の相続手続きとは異なる特別な流れになります。
- 相続財産管理人の選任
- 財産調査・債権公告
- 特別縁故者への分与
- 最終的に国庫へ帰属
手続きが複雑なため、早い段階で専門家に相談することをおすすめします。
